北九州市立総合療育センター西部分所
分所長 奈須康子
2016年4月に開設した、北九州市立総合療育センター西部分所は、10年目を迎えました。ご利用児者の皆様、あたたかくお見守りいただいております地域・市民の方々に深く感謝申し上げます。
当西部分所は、北九州市立総合療育センターの分所です。北九州市立総合療育センターは、医療法に基づく総合的な子どものリハビリテーション病院であり、かつ児童福祉法および障害者総合支援法にもとづく福祉施設でもあります。前身となる足立学園開設から今年で60周年を迎える、北九州市立総合療育センターは日本初の総合療育センターとして障害児療育のモデルとされ、福祉行政としても、こんにちの地域の障害児医療・療育のシステムづくりに先駆的に貢献してきました。
その分院である西部分所は、北九州西部および周辺地域の地域療育支援を担う地域療育センターとして、医療法および児童福祉法に基づき、外来診療・リハビリテーション、親子通園部門から構成され、地域社会と密接に連携し、「育ち」を大切にした療育支援において、「暮らし」につながるリハビリテーションを実施しています。
地球規模で合意した「持続可能な開発目標(SDGs)」のゴール設定は2030年。その後の国連アジェンダはWBGs(Well-being Goals)であり、指標は「豊かさ」です。健康の定義である、「Well-being(健康とは、身体的・精神的・社会的に良好な状態)」が発効された1948年のWHO憲章から100年近くの経過を目前に、すべてのこどもの育ちが健康である(Well-being)ために本当に必要な「豊かさ」を目指すことを示しています。育ちに必要な要素は、「適切な栄養」「基本的信頼感(安心感・安全感・安定感)」「愛ある暮らしの環境」「人と人との関係性(抱きかかえられる社会環境)」です。わたくしたち西部分所は、育ちに必要な基本要素につつまれた療育支援の場をめざし、スタッフ同士も同様にお互いの強みを評価し合える支援チームを結成し、療育センターの強みである障害児総合医学にもとづく障害児総合療育診療および支援を通し、市民の皆様とともに、子育てしたくなる街づくりに貢献いたします。
前所長佐伯満先生のお言葉にありますように、子どもは遊ぶことで学び、心を通わせる家族のなかでこそ成長します。療育は、細やかな子育て支援です。主役である子どもたちとご家族、そして子育て支援者としての当センタースタッフとともに、専門性の高い療育支援をベースに、あたたかく、ほっとできる、楽しい育ちの場であり続けたいと思っております。
2025年10月1日
北九州市立総合療育センター西部分所分所長 奈須康子

